敷地の特徴に合った、またはそれを生かした家づくりは建築家の腕の見せ所です。今回ご紹介するのはSTUDIO POHが手掛けた住まい。ここでは、敷地の高低差を生かし、居室の高さが敷地に合わせて設定されるとともにその高さにあった室が割り当てられることで理想的な生活空間を実現しています。では詳しく見て行きましょう。
敷地は階段上の地形である河岸段丘上にあり、道路を挟み西側には河川や田園地帯が広がる比較的のどかな場所に位置します。敷地の高低差を生かし、下段レベルには駐車場と書斎、上段レベルに住居ゾーンが配置されています。このように敷地の高低差を生かした空間配置がなされることで、道路側からは生活部分が見えず、リビングと連続するデッキからは西側に広がる景色を堪能できるようになっています。またコンクリートの基壇と木部のコントラスト、シャープな薄い屋根が美しい外観です。
駐車場の横に位置するアプローチおよび玄関部分です。タモの練付材と同出目地の水平ラインが強調された玄関ドアおよび内壁がミニマルなコンクリートの外壁にアクセントを加えています。
LDK入口より全体を見渡した様子です。小さな高低差は住み手の視線を一致させるために設けられました。テラス側全面に配された開口からは十分な採光が得られることがもちろんのこと、西側に広がる田園風景の先まで無限に視界が広がります。住居部分には一定の高さをもつ三連引戸が連続して配置されて窓を大きく開け放つことができるようになっています。また木素材がふんだんに用いられ、あたたかみのある落ち着いた空間でもあります。
リビングに連続する広々としたデッキより西側の田園地帯を望んだ様子です。三連引き戸を開放することでLDKスペースとの一体感が高まり、空間がますます広く開放的に感じられます。また華奢な手すりを用いることで風景をより空間に取り込むことに成功しています。ちょうどこの方向に夏に催される街の花火大会を望むことができるそうで、とても贅沢な空間ですね。