建物が密集した住宅地に家を建てる時、家の外観や間取りの他に、色々と考えなくてはならない問題に直面します。例えば、北側斜線制限がその一つ。隣家の日照を妨げないよう、屋根の形を考えたり、高さを抑えたり等、規制を守るために様々な工夫をしなければなりません。今回は、その北側斜線制限をむしろ生かして作られた、お洒落で個性的な家をご紹介します。手掛けたのは、東京を拠点に活動する株式会社POINTです。北側斜線制限をポジティヴに利用したこの「DanDanDanie / ダンダンダニエ」と名付けられた住まい、一体どんな様子なのでしょうか?さっそく見ていきましょう!
住まいのロケーションは東京。こちらは角地に建つ3階建ての住まいの外観です。北側にはバスルーム、リビング、和室、バルコニーが設けられ、それらが階段状に重なっている住宅レイアウト。家のフォルムを階段状にしたことにより、北側斜線制限の影響は上手にクリアできています。南側の窓は少し大きめに、その他の側は必要最小限にとどめて適所に散りばめられ、それが階段状の住まいのデザインと良くマッチしています。北側斜線制限によってデザインの自由度が失われがちなところを、むしろポジティヴに取らえた結果、よりお洒落で個性的な住まいが生まれました。
2階南側に位置するダイニングキッチンの様子。室内は、同じ階で段差をつけて部屋を設けたスキップフロアを採用し、縦格子によって囲われるように設置された階段によって、南北に部屋が分けられています。階段に隙間が多い作りなので軽やさがあり、この2階の空間に程よい抜け感をもたらしています。階段よって部屋間が遮断されないで済むため、南側の開口から取り入れた明るさを部屋の北側まで届けることが出来ます。奥の下がったスペースにあるのがリビング、そのリビングの上は和室スペースとなっています。この部屋の作りなら、家族がそれぞれキッチン、リビング、和室等にいても、お互いの気配を感じやすいので安心ですね。
2階の南側のダイニングキッチンには、開口から十分な光が差し込むので、明るい気分で食事を楽しむことが出来ます。そしてここで目を引くのは、コの字型の白く大きいカウンターテーブルの存在感。料理の作業や配膳台、そしてもちろんダイニングテーブルとしても大活躍します。また、壁一面には収納力抜群の造り付けの棚が設けられ、とても便利ですね。
2階ダイニングの奥にある、暗めの色で統一された落ち着く雰囲気のリビングスペースです。壁一面に長い棚を設置し、テレビ台や飾り棚として利用出来ます。大きなL字型ソファに座って、ゆったりとくつろぎながらテレビや映画鑑賞を楽しめそうです。南側にある明るいダイニングと比べ、北側のこのリビングスペースでは違った落ち着きが得られるのも面白いですね。
ちょうどリビングの上に位置している和室スペースの様子です。床に畳が敷かれ、天井には明るい色味の板が張られ、シンプルながらも癒される雰囲気があります。現代的な住まいであっても、和室があるとないのでは気分はだいぶ違うもの。客間等にも利用できるので、いつの時代にも和室スペースは貴重な存在です。北側の壁いっぱいに横に長く設けられた障子からは、柔らかく光を取り込み、ホッとできる空間となっています。