今回ご紹介する空間設計AUNによるこちらの住まいはキャンティレバー構造の張り出し部分が特徴的な住宅です。キャンティレバー構造とは部材の片側だけが固定されている片持ち式の構造のことで、バルコニーなどでよく見られますが、この住宅では2階の通り沿いの空間が大胆にも4mほど張り出して構成されています。周辺に広がる緑の中にふわりと浮かんでいるようなこちらの住まいにはどんな空間が広がっているのでしょうか?早速見て行くことにしましょう。
敷地は街路樹が400mほど続く緑豊かなケローナ通りに面する住宅地に位置します。この豊かな環境を内部に取り込み、そしてまたその環境に溶け込むような住まいをコンセプトとして計画されました。白を基調としたシンプルでモダンな外観に、ぬくもりある木の外壁がアクセントを添えています。
生活の中心となる空間を2階に配すことで、キャンティレバー構造下の1階部分には柱や壁のない空間が生まれています。ここは、子どもたちが遊んだり、近所の人々とのふれあいが生まれる空き地のような場所。この家と周辺とを緩やかにつなぐ心地の良い場所です。
緑豊かな並木道。その季節ごとに変化する美しい景色をより楽しむため、2階のリビング部分には大きな窓を設け、そして空間を可能な限り並木道に近づけるよう計画されました。
階段を上ると黒い額縁に縁どられた絵のような風景が目の前に広がります。白を基調としたニュートラルでモダンな空間が、並木道の鮮やかな緑をより一層際立てていますね。窓の外にはバルコニーもあり、天気の良い日には外に出て美しい景色をより身近に楽しむことができます。また、壁に配された大きな鏡が空間にさらなる広がりをもたらしています。
一方には緑が広がり、一方には青空が広がる、抜け感のあるとても気持ちの良い空間です。このように真っ白な内装に黒やダークカラーの家具や建具が加わることで空間にメリハリが生まれますね。